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斗希子が朱点童子の真実を知ったときにショックを受けた、というのは鬼百合のことがあったからです。
斗希子が来訪した月に訓練を付けてくれたのは伯母の風美子でしたが、なにぶん体調が万全でなかったので(プレイヤーのせい)術関係は風美子が教えて、体術関係は専ら鬼百合が相手をしていました。(弓に関しては次の月に母親の津希子が教えることになっていました)
来訪したのが1月でしたから寒さも盛んな折。道場はとても寒く、頬を真っ赤にしながら鬼百合と組み手だの何だのしてさあ母屋に戻ろうというときには、汗をかいたせいもあって身体はとても冷えています。北辺家は敷地面積が無駄に広く母屋と道場は結構離れています。鬼百合はいつも、震えながら歩く斗希子の手を握ってやって母屋まで戻っていました。そんな優しい鬼百合が斗希子は好きでした。
鬼百合は境遇の割りにひねたところのない子でした。むしろ、短い一生を戦いに捧げ、都のためと阿部家に力を貸し、人でないものと交わらなければならない他の子達に比べたら自分はずっと楽をしていると思っていました。存在しないものとして扱われているといっても、家族とは普通に暮らしているし外を出歩いても構わないし(阿部家の人、特に吉平の息子は外出することに対してあまりいい顔はしませんでしたが)、生活に困ることは全くない。
自分に懐いてしょっちゅう彼の後をついて来るような斗希子に「朱点を倒せば呪いが解ける。呪いを解いて、そうしてお前たちは幸せになるんだよ。俺はきっと間に合わないから、斗希子たちが俺の分まで幸せになるんだよ」……鬼百合はそんな風に話したことがあります。
(組子や輝子も鬼百合に懐いていましたが、斗希子は訓練を付けてもらったということがあるので特に懐いたのです)
それから、斗希子はそれを叶えようと頑張るのですが、結局、大江山の朱点童子はただの器だったと知って泣き崩れることになります。鬼百合が朱点を倒す直前に亡くなっていたこともあって、斗希子は鬼百合の願いを叶えられなかったことが本当に悲しかったのです。
斗希子が鬼百合へ向ける感情は恋愛感情に限りなく近いものでした。けれども、斗希子はそれをあくまで家族愛として抱き続けます。鬼百合が自分を絶対に恋愛の相手として見ないことを知っていたからです。鬼百合が家族を平等に愛していることを知っていたからです。そんな鬼百合が好きで、困らせたくはなくて、だから斗希子は最期まで大好きな家族として鬼百合に接したのです。

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あなたの手は大きかった、あたたかかった